くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、皮膚の赤み…。
アレルギー症状は、日常生活の集中力や睡眠の質を大きく低下させます。「毎年決まった時期になるから仕方ない」と諦めず、適切なコントロールで快適な毎日を取り戻しましょう。
当院では、患者様のライフスタイルに合わせた治療薬の選択を行っています。

アレルギー疾患の仕組みと分類
私たちの体には、外部から侵入するウイルスや細菌から身を守るための免疫という働きが備わっています。
この免疫機能が、本来は無害な物質 (花粉や食べ物など) に対して過剰に反応し、体にマイナスの症状を引き起こしてしまう状態がアレルギーです。
アレルギーの仕組みと種類
アレルギー疾患は、その発症メカニズムによって1型から4型に分類されます。
▼アレルギーの分類ごとの違い
| 分類 | 呼称 | メカニズム・特徴 | 代表的な疾患・症状 |
| 1型 | 即時型 | ・IgE抗体が関与 ・アレルゲン接触後、数分〜数時間以内に発症 | 花粉症、気管支喘息、食物アレルギー、蕁麻疹など |
| 2型 | 細胞障害型 | ・抗体が自分自身の細胞を誤って攻撃・破壊 | (一部の薬疹や自己免疫疾患など) |
| 3型 | 免疫複合体型 | ・抗原と抗体の結合物(免疫複合体)が組織に沈着 ・組織障害の引き金に | (一部の腎炎や膠原病など) |
| 4型 | 遅延型 | ・抗体ではなく細胞性免疫が関与 ・接触後、発症までに数日要することが多い | 接触皮膚炎(かぶれ)、金属アレルギーなど |
なぜ増えたのか?昔はなかった原因と衛生仮説
昔はなかったのに、なぜ現代になってアレルギーがこれほど増えたのでしょうか。
増加の原因として、気密性の高い住宅によるダニの繁殖や食生活の変化などが挙げられます。
さらに有力な説として衛生仮説があります。
これは、乳幼児期に感染症にかかる機会が減ったことや衛生環境が良くなりすぎたことで、免疫のバランス (Th1とTh2のバランス) が崩れ、アレルギー体質になりやすくなったという考え方です。
アレルギーになる人とならない人の違い
同じ環境にいても、アレルギーになる人とならない人がいます。
この違いには、遺伝的なアトピー素因 (アレルギーになりやすい体質) の有無が大きく関わっています。
親や兄弟にアレルギー疾患がある場合、その体質を受け継ぎやすくなります。
また、環境中のアレルゲンへの曝露量も重要です。
花粉の飛散量が多い地域に住んでいたりホコリやダニが多い環境に長くいたりすると、体内の許容量を超えてしまい、ある日突然アレルギーを発症することがあります。
代表的なアレルギー疾患一覧と症状チェック
子どもの頃は食物アレルギーやアトピー性皮膚炎から始まり、成長とともに異なるアレルギー疾患が次々と現れることをアレルギーマーチと呼びます。
アレルギーマーチの一般的な進行イメージ
- 乳児期:アトピー性皮膚炎、食物アレルギー
- 幼児期:気管支喘息
- 学童期以降:アレルギー性鼻炎 (花粉症など)
食物アレルギーと危険なアナフィラキシー
特定の食べ物を摂取することで、免疫機能が過剰に反応するのが食物アレルギーです。
原因となる食物は、乳幼児期は鶏卵、牛乳、小麦が多く、学童期以降は甲殻類やピーナッツ、果物などが増えます。
皮膚のかゆみや赤みのほか、嘔吐や下痢などの消化器症状が出ることもあります。
また、複数の臓器に全身性のアレルギー症状が急激に現れる状態をアナフィラキシーと呼びます。
アナフィラキシーショックの危険なサイン
- 呼吸が苦しい、声がかすれる
- 意識がもうろうとする、ぐったりする
- 唇や爪が青白い、脈が弱い
これらの症状が現れた場合は命に関わるため、直ちに救急車を呼ぶなどの迅速な対応が必要です。
気管支喘息・アトピー性皮膚炎・蕁麻疹
アレルギー症状は呼吸器や皮膚にも現れます。
それぞれの疾患名と特徴は以下の通りです。
- 蕁麻疹
- 皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、強いかゆみが出る
- 数時間から数日で跡形もなく消えるのが特徴
- 気管支喘息
- 気道に慢性的な炎症が起こり、ゼーゼー、ヒューヒューという音 (喘鳴)
- 夜間から明け方にかけての長引く咳、息苦しさ
- アトピー性皮膚炎
- 強いかゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す
花粉症・アレルギー性鼻炎の特徴と症状
花粉やハウスダストが鼻の粘膜に付着して起こります。
主な症状は、発作性のくしゃみや水のような透明な鼻水、鼻づまりです。
花粉症の場合、これらに加えて目のかゆみが現れるほか、熱っぽい・だるいといった全身の倦怠感や、喉のイガイガなどの初期症状を伴うことがあります。
重症化すると睡眠不足や集中力低下を招きます。
診断とアレルギー検査
アレルギー対策の第一歩は、ご自身の症状を引き起こしている原因物質 (アレルゲン) を正確に特定することです。
まずは、いつから症状が出ているのか、季節性はあるのか、どのような時に悪化するのかを詳しく伺います。
また、家族にアレルギー疾患を持つ方がいるか、自宅でペットを飼っているかなど、生活環境との関係性を紐解き、原因を推測します。
血液検査 (特異的IgE抗体検査)
問診で原因がはっきりしない場合や、より正確にアレルゲンを特定したい場合は血液検査を行います。
スギ、ヒノキ、ダニ、ハウスダスト、特定の食物などに対するIgE抗体の量を数値化して調べることで、何に対してアレルギー反応を起こしやすいかが明確になります。
アレルギー疾患の治療と対策
アレルギー治療の基本は、原因物質の回避と症状を抑える薬物療法です。
患者様の症状やライフスタイルに合わせた治療法をご提案します。
薬物療法による症状のコントロール
現在出ているつらい症状を和らげるための対症療法です。
| 薬のタイプ | 特徴 |
| 内服薬 | ・抗ヒスタミン薬などが中心 ・眠気が出にくいタイプや、1日1回の服用で効果が持続するお薬など |
| 点鼻薬・点眼薬 | ・鼻づまりや目のかゆみが強い局所の症状に直接作用し ・全身への副作用が少ないのが特徴 |
| 外用薬 (塗り薬) | アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの皮膚症状に対して、炎症やかゆみを抑える軟膏や保湿剤を処方 |
| 吸入薬 | 気管支喘息の治療で使用し、気道の炎症を抑えて発作を予防 |
重症・難治性アレルギーに対する注射療法
内服薬や点鼻・点眼薬だけでは症状が十分に治まらない重症の方や慢性的なアレルギーにお悩みの方には、注射薬を用いた治療の選択肢もあります。
| 注射薬の種類 | 対象となる主な疾患 | 特徴と治療のしくみ |
| ゾレア皮下注*1 (オマリズマブ) | ・重症の季節性アレルギー性鼻炎 (花粉症) ・難治性の気管支喘息 ・慢性蕁麻疹 | アレルギー反応の元となる「IgE抗体」を直接ブロックし、症状を強力に抑え込む |
| ヒスタグロビン注射*2 | ・アレルギー性鼻炎 ・気管支喘息 ・アレルギー性皮膚疾患 (アトピー、蕁麻疹等) | 体内にヒスタミンへの抵抗力 (防御力) をつけ、アレルギー体質そのものを改善していくお薬 |
*2 週1〜2回の注射を1クール (数回) として行います。月経中や妊娠中、激しい喘息発作時などは治療を受けられません
根本から治すアレルゲン免疫療法
原因となるアレルゲンを少しずつ体内に取り込み、体をアレルゲンに慣れさせていくことで、長期的な体質改善を目指す治療法です。
スギ花粉やダニに対する舌下免疫療法などがあり、アレルギー症状を根本から和らげる効果が期待できます。
快適な毎日のために一般内科へご相談を
アレルギーは我慢するものではなく、医学的なアプローチで適切に管理する病気です。
花粉症などの季節性アレルギーは、花粉が本格的に飛び始める前からお薬を飲み始める初期療法が非常に効果的です。
早期に対策を始めることで、ピーク時の苦痛を大幅に和らげることができます。
市販薬を飲んでいるが効き目が悪い、仕事や勉強中で眠気が出ると困るなど、お悩みは人それぞれです。
当院では一般内科のかかりつけ医として、患者様の生活背景に寄り添い、適切なお薬選びや他の病気との見極めをしっかりと行います。
どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

やさしい内科クリニック院長 山村 聡
日本内科学会認定内科医。糖尿病や甲状腺・内分泌疾患、AGA治療を専門として治療を行っています。最近は保険診療以外にも低用量ピルなど自由診療の治療も実施しています。
経歴
・九州大学医学部卒
・高邦会 高木病院 臨床研修
・昭和大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 助教
・銀座有楽町内科 前院長
・やさしい内科クリニック開院
参考文献
・厚生労働省「アレルギー疾患の手引き」
・厚生労働省「アレルギー疾患対策基本法」
・一般社団法人 日本アレルギー学会「アレルギー疾患の手引き」
・日本医師会「アレルギー疾患」
・ノバルティスファーマ「ゾレア®による治療を受ける 患者さんとそのご家族の方へ」
・GenomeNet「医療用医薬品 ヒスタグロビン」
