生活習慣病

更新日: 2026/03/04

生活習慣病は、食事や運動、睡眠、喫煙、飲酒などの日々の生活習慣が深く関わって発症する病気の総称です。

初期の段階では自覚症状がほとんどありませんが、放置すると血管へのダメージが蓄積し、将来的に心臓病や脳卒中などの大きな病気を引き起こすリスクが高まります。

「健康診断で数値を指摘されたけれど、どこも痛くないから」と放置せず、まずは一度ご相談ください。早めの対策が、将来のご自身の体を守ります。

生活習慣病の原因

生活習慣病は、名前の通り日々の生活習慣が大きく影響しますが、それだけが原因ではありません。

ここでは、病気が発症するメカニズムやメタボリックシンドロームとの関係について詳しく解説します。

3つの発症要因 (生活習慣・遺伝・外部環境)

病気の発症には、長年の生活習慣に加えてさまざまな要因が絡み合っています。

生活習慣病の原因を正しく理解し、日々の生活を見直すことが予防への第一歩です。

疾病発症の主な3つの要因

  • 遺伝要因
    • 遺伝子の異常や加齢、病気になりやすい体質など
    • 親から受け継いだ要素も含まれる
  • 外部環境要因
    • 病原体による感染、有害物質への曝露、不慮の事故、精神的なストレスなど
    • 対策を個人で行うことが困難な場合が多くある
  • 生活習慣要因
    • 塩分や糖分、脂肪分の過剰摂取といった食生活の乱れ、慢性的な運動不足、喫煙、過度の飲酒、休養不足など

これらが複合的に絡み合い、内臓や血管に負担をかけ続けることが主な原因となります。

遺伝や環境は個人の力で変えることが難しい部分もありますが、生活習慣要因は個人の努力で改善・予防することが可能です。

メタボリックシンドロームとの関係

お腹の周りの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満に、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった病気が複数重なると、動脈硬化を急速に進行させる危険性が高まります。

メタボリックシンドロームの診断基準として、以下のような項目が設定されています。

  • 腹囲が基準以上 (男性85cm、女性90cm) であること
  • 血圧、血糖、脂質の検査値が規定値以上であること

この必須項目に加え、選択項目の2つ以上を併せ持った状態をメタボリックシンドロームと呼びます。

男性では50歳以上で半数以上女性も60歳以上で5人に1人という割合に達しており、社会的な問題となっています。

生活習慣病の種類と主な症状

生活習慣病には様々な種類が存在し、それぞれが異なる臓器や血管にダメージを与えます。

当院では、以下のような生活習慣病の診断・管理・治療を行っています。

疾患名状態・特徴
高血圧症・血管に常に強い圧力がかかっている状態
・動脈硬化を促進する代表的な疾患
脂質異常症・悪玉コレステロールや中性脂肪 (トリグリセライド) が増加し、善玉コレステロールが減少した状態
糖尿病
(2型糖尿病)
・血液中のブドウ糖濃度が高くなる病気
・進行すると他の疾患を惹起したり、合併症により著しく生活の質 (QOL) を低下させる
高尿酸血症
(痛風)
・尿酸値が高くなり、関節に激痛を引き起こす状態
メタボリック
シンドローム
・内臓脂肪型肥満を基盤に、高血圧・高血糖・脂質代謝異常が重なっている状態
その他関連疾患・慢性腎臓病 (CKD)
・脂肪肝 (NAFLD/NASH)
・アルコール性肝障害
・慢性閉塞性肺疾患 (COPD)

初期の生活習慣病は特に自覚症状がないことが多いため、いつの間にか病気が進行してしまう危険があります。

そのため、定期的に健診を受けて自分自身の健康状態を常に正しく把握することが早期発見・治療に重要です。

日本人の死亡原因と放置するリスク

生活習慣病を放置することは、命に関わる重大なリスクを伴います。

主要疾患別の死亡者数と医療費

生活習慣病は、日本人の死亡数の約5割、一般診療医療費の約3割を占めています。

主要疾患別にみた死亡者数でも生活習慣病が上位を占めており、近年のデータは以下の通りです。

順位疾患名死亡者数
第1位がん (悪性新生物)約38万5千人
第2位心疾患約23万2千人
第3位老衰約17万9千人
第4位脳血管疾患約10万7千人
糖尿病*約1万4千人
※順位と数値は厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計」に基づく。
*糖尿病は直接の死因としての順位は下位ですが、心疾患や脳血管疾患などの重大な合併症を引き起こす原因となるため、併記されることが多くなっています。

ちなみに、糖尿病患者の死因に限定した場合は、第1位が悪性新生物 (がん) 、第2位が感染症、第3位が血管疾患 (脳・心血管疾患) となっています。

日本の死亡原因や医療費のデータからも、これらの疾患がいかに深刻な影響を及ぼしているかが分かります。

また、一般診療医療費のランキングについても、生活習慣病が国民医療費の約35%にのぼっています。

日本の死亡原因や医療費のデータからも、これらの疾患がいかに深刻な影響を及ぼしているかが分かります。

動脈硬化の進行と引き起こされる重大な疾患

生活習慣病の最大の恐ろしさは、自覚症状が現れないまま動脈硬化*が進行することです。

健康的に問題のある生活習慣の影響は確実に身体の負担として蓄積され、ある日突然以下のような恐ろしい疾患を引き起こします。

  • 心疾患:狭心症、心筋梗塞などの心臓病
  • 脳血管疾患:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳の病気
  • 末梢動脈疾患:足の血管の狭窄や閉塞(完全に閉塞すると切断に至るリスクがあります)
  • その他:腹部大動脈瘤など

要支援者や要介護者となる主な原因についても、脳血管疾患をはじめとした生活習慣病が約3割を占めており、社会的に大きな課題となっています。

ご自身の健康寿命 (介助や介護を受けずに生活できる期間) を延ばすためには、早期の対策が不可欠です。

* 動脈の壁にコレステロールがたまり、血管が硬くなったり狭くなったりして血液の流れが悪くなる状態

生活習慣病予防と当院の治療方針

生活習慣病の治療のゴールは、数値を正常範囲にコントロールし、合併症を防ぐことです。

いきなりお薬を処方するのではなく、まずは患者様のライフスタイルをお伺いした上で、無理なく続けられる改善策を一緒に考えていきます。

生活習慣を改善するポイントは、1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリと言われています。

無理なく続けられる改善を

  • 生活習慣の指導 (食事・運動)
    • メタボリックシンドロームなどを基盤とする場合は減量を第一歩とし、食事療法や運動療法のアドバイスを行う
  • 禁煙の推奨
    • 喫煙は心筋梗塞や脳卒中、がんの明確な危険因子であり、受動喫煙も含めて有害であるため禁煙を強く推奨
ブレスローの7つの健康習慣

健康と生活習慣との関係については、アメリカの公衆衛生学者ブレスローが提唱した7つの健康習慣が代表的なものとして挙げられます。

生活習慣病予防において、以下の健康習慣を多く実践している人ほど、疾患の罹患が少なく寿命も長いことが明らかになっています。

生活習慣病予防のための7つの健康習慣

  1. 適正な睡眠時間をとる
  2. 喫煙をしない
  3. 適正体重を維持する
  4. 過度の飲酒をしない
  5. 定期的にかなり激しいスポーツをする
  6. 朝食を毎日食べる
  7. 間食をしない

 参考:厚生労働省「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について

生活習慣の改善だけでは数値の改善が難しい場合やリスクが高いと判断された場合に限り、お薬による治療を検討します。

患者様の年齢や合併症の有無などを考慮し、適切なお薬を選択します。

薬を飲めば安心ではなく、生活習慣の改善もあわせて行うことが大切です。

健康診断の結果をお持ちください

会社の健康診断や自治体の検診などで、要経過観察や要精密検査などの判定が出た場合は、必ず結果用紙をお持ちになってご受診ください。

「どの項目が悪いのかよく分からない」
「本当に病院に行く必要があるのか知りたい」

そのような場合も、医師が結果を拝見し、現在の状態やリスクについて分かりやすくご説明いたします。

長いお付き合いで健康をサポート

生活習慣病の治療は短期間で終わるものではなく、長く付き合っていく必要があります。

国の健康づくり運動である健康日本21 (第三次) でも、健康寿命の延伸が重要な目標とされています。

また、高齢になるに従い、これまでの減量目的から筋肉量の低下 (サルコペニア) 心身の衰え (フレイル) を防ぐために体重を落とさないことへと、優先すべき対策が変わっていきます。

当院では通いやすさと話しやすさを大切にし、患者様お一人おひとりの年齢や健康状態に合わせて、健康的な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

Dr.Yamamura So

やさしい内科クリニック院長 山村 聡

日本内科学会認定内科医。糖尿病や甲状腺・内分泌疾患、AGA治療を専門として治療を行っています。最近は保険診療以外にも低用量ピルなど自由診療の治療も実施しています。

経歴
九州大学医学部卒
高邦会 高木病院 臨床研修
昭和大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 助教
銀座有楽町内科 前院長
やさしい内科クリニック開院

参考文献
・厚生労働省「健康日本21アクション支援システム
・厚生労働省「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について
・日本生活習慣予防協会「生活習慣病とその予防
・日本動脈硬化学会「生活習慣病とは?
・政府広報オンライン「生活習慣病とは?予防と早期発見のために定期的な受診を!